1.何かが引っかかる
SNFU『The Last of the Big Time Suspenders』の裏表紙にもホッケー競技。
スケートはスケートでもアイススケートのスケートロックなのか。
random bad religion photo for a NHL-less saturday evening. DOA Murder Squad vs SNFU / Bad Religion Hockey Club '94 pic.twitter.com/Ntgzhfih
— jay bentley (@jay_bentley) 2012年11月11日
2.体育会系と赤い首の住人たち
マイケル・アゼラッド『病んだ魂 ニルヴァーナ・ヒストリー』(ロッキング・オン)に「体育会系」の文字がやたらと出てくる。
体育会系の奴らが音楽業界にまではびこっている。(略)ゾッとするよ。
カート・ドナルド・コバーン(23歳)
著者*1は「インテリで、政治的にも進歩派で、反性差別主義で、マッチョではなく音楽のわかる」カレッジ/インディー系の客と「頭の弱そうな体育会系や優等生タイプやメタルキッズ」を対比させながら、その双方から支持を得るバンドの特異な状況を描き出す。
チャールズ・R・クロス『HEAVIER THAN HEAVEN カート・コバーン・バイオグラフィー』(ロッキング・オン)においても、カート・コバーンは運動部出身者や保守的な白人貧困層(自分と同じという意味で言っていると思われる)の思想、容姿についてかなり辛辣な意見を述べている。カート本人は野球、アメフト、陸上やレスリングまでやっている。(割と人気者だったらしい。マット・ルーキン(元メルヴィンズ、マッドハニー)とは少年野球団で出会う)嫌々習わされていたとしても、12才で草と酒を経験して、はたちの頃はビールの代わりにLSDを嗜むような人ではある。
3.オリンポスの果実
・麻生太郎 モントリオールオリンピック クレー射撃 日本代表
・森喜朗 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の発言
・川淵三郎 日本トップリーグ連携機構会長「オシムって言っちゃったね」
・人気芸能人「切り取り」
・銀メダリスト「何が正解?批判も肯定も難しい」
4.she's not on the menu
パートナーの要請した家事仕事一切を無視する強心臓の持ち主、伝説の男カート・コバーン曰く(『病んだ魂』)
女嫌いでもウィリアム・バロウズは尊敬してる。ブリオン・ギーシン(brion gysin)だって完全に女嫌いだけど、彼の作品は大好きさ(略)
僕は女嫌いの連中は大嫌いだし、そういう連中とも関わりたくはないけれど、中には素晴らしい物を作り出す人もいる(略)
彼らからも学ぶべきものがあるんだよ。(略)彼らを拒否して関わらないでいるよりは、彼らの考え方を変えるように説得してみる方がいいだろ?
5.hot topic is the way that we rhyme
トビ・ヴェイルの影響で「フェミニズムやその他の政治、社会問題を深く考えるようになった」というカート・コバーン。大好きなカミール・パーリアはコートニー経由で知った。(『病んだ魂』)
男であることを嫌がってはいないよ。女性の側に立って、支援して、他の男性に影響を与えようとする男だっていろいろいる。むしろ女性よりも男性が他の男性に対して例を示した方がインパクトがあるんじゃないかな
セクシュアル・マイノリティの権利を擁護するコンサートや中絶の権利を支援するチャリティー公演に出演する一方で、妹のカミングアウトに戸惑って意味不明な説得を試みる。橋の下で釣った魚を食う話はどうやら創作のようで、体育会系だかレッドネックだかに部屋を荒らされた話も本当かどうか分からない。晩年は連日のように400ドル相当のヘロインを腕に刺していたそうだが、アージ・オーヴァーキルのEddie “King” Roeserのニルヴァーナ評(『病んだ魂~』p.206)は言い得て妙だ、と思った。
政府なんてクソくらえ、現状なんてクソくらえ、アホ連中もクソくらえ、だろ
ここから、人種差別、性差別、ファシズム、検閲主義反対に広がっていく。ショウに来た人みんなに伝わるメッセージなんだよ
おわり
追記:Steven Jesse Bernstein を聴いて カートもブラウン・カウ/タオル時代はノイズの中で詩を吟じたらしい 存命ならば今頃、スリム・ムーンやディラン・カールソンなんかとポエトリーリーディングのレコードを出していたかもしれない ミランダ・ジュライの線は…どうかな~
追記:カートは交際中のコートニー・ラブにエミリー・ブロンテ『嵐が丘』*2とオスカー・ワイルド『ドリアングレイの肖像』を贈ったそうだが…。『アラバマ物語』を例にムラの閉鎖性、差別の横行に憤るが、クリスの読んでいたソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』には興味を示さない。鬱な冬の日にダンテ『神曲』を読んで一日を過ごす(Tシャツのデザインに採用)。ブローティガン(タコマ出身)に言及する箇所はなかった。
飛び跳ねるニッキ・マクルーアとイアン・ディクソン、Tシャツも素晴らしい。www.youtube.com
*1:マイケル・アゼラッドはエヴェレット・トゥルーによると「あたりさわりのない書き手」とのこと(『ニルヴァーナ:ザ・トゥルー・ストーリー』シンコー・ミュージック p.615より
*2:thrushcross grange:スラッシーでクロスオーバーなグランジ・ロックという意味か?(“grunge”)