ブーンバップ爺になりたい

 釜揚げうどんの汁に胡椒を振りかけるのを見咎められ、言い訳として食後のコーヒーが美味くなると答えた。「食べものの話になると饒舌になるよね」嘲笑されて、内心「なにをっ」となったが、昔、スマパンの『メロンコリー~』がお気に入りと小耳に挟み、頼まれもしないのにファーやハンサム等を渡し、後日「なんでこれが好きと思った?」憤懣遣る方ないといった感じで突き返された。何と答えたかは覚えていない。

 舌の痺れを癒すべくコーヒーに大量の豆乳を注いだら、手で淹れた意味がない、とあきれた表情。いや、チベットのお茶みたいになるんだよ、弁明したところ「行ったこともないくせに。バカなの?」と。昔、運転中に、田嶋陽子、そこまで嫌いじゃない、言葉を慎重に選んだつもりが「あの人はフェミの専門でも何でもないから」と一蹴され、見ると疲れた顔に青筋を立てていた。最近、再評価の流れが来ているのでは、など口に出せるはずもない。

こじつけNIRVANA

 店が閉まっているので酒を止してみた。三日後、腰回りの異様な軽さに調子付き、意味もなく階段を駆け上ったり、人気のない街を二駅半歩いたりして、翌日は両脚の激痛に苦しんだ。さらに何事もなく三日が経過して、断酒は続いている。饅頭を求めて入ったコンビニで、カゴの中へ缶酒をひょいひょい詰め込む人の横顔をねめつけたこともある。

1. NYHCの本にニルヴァーナが出てきた

The two big factors that seemed to end an era for me in 1989 were Ray getting into Krishna and Nirvana's Bleach coming out. Those two things did really change a lot of things for quite a few people, me included.(p.358)

                                            jordan cooper : owner, revelation records

 walter schreifelsも同じ頁で以下のような発言をしている。

I remember touring with Gorilla Biscuits in Europe. Someone gave me Nirvana's Bleach, and I was like, “WoW!” Fugazi was happening at same time, and that was more interesting to me, too. There was something there that seemed more adult that I wanted to grab onto [...].

2.カート・コバーンの日記にハードコアの痕跡を見る

俺はパンク・ロックが広い世界中の何よりも好き。(中略)ハードコアはマッチョすぎて、しかも気後れしてしまうようなルールがたくさんあって、俺はあんまり好きになれなかった。(後略)(p.96)

 とはいえ“Here are some of the Band I like.”と題された頁(p.229)には、いくつかのアメリカン・ハードコアと共に Discharge が出てくる(p.236では「the more i see」の具体的な曲名表記も)。で、「ignorance」Tシャツ。そして、Dirtの文字。Dirt???

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3.UK ANARCHO PUNK の影響について

 もし Dirt が DIRT (band) - Wikipedia  だとして、Discharge『Grave New World』(86年) の音楽性も含めて考慮すると、Fecal Matter(pre-nirvana)や『Bleach』の曲調にアナーコ・パンクの影響が…あるかなあ。そう考えるとメジャー契約後の作品にも Crass の響きが内在するように思えてきた。「Class of 86」という曲*1もあるし。

  ついでながら Crass に関しては、ブルース・パヴィット Bruce Pavitt - Wikipedia に言わせると以下のようになるらしい。(MDC『Chicken Squawk』を評して ロケット誌 サブポップコラム 1984年9月より) 

Like the british group CRASS, MDC is more interested in propaganda than writing a good song. 

 ちなみにクリスはSSD、チャドはHUSKER DUを着ている。デイヴは言わずもがな。

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4.何の確証も得られず

 NIRVANA と ANARCHO PUNKの影響関係について、単なる妄想・牽強付会に過ぎないこともあり、これ以上の考察は断念せざるを得なかった。よって前述した「DIRT」の真意は不明です。今後の課題としたい。

 

おしまい

 

メモ:タッチアンドゴー総集編('79-'83)とフリップサイド10周年記念号('77-'86)にクラスやディスチャージの他にThe Mob や Rudimentary Peni, Conflict 等の記事があった。キャリー・ボルツィロ『ニルヴァーナ デイ・バイ・デイ・クロニクル』(シンコー・ミュージック)によれば81年にカートはメルヴィンズと出会っていて、ブラッグ・フラッグやMDC、フリッパーを教えてもらっている、はず、だがブラック・フラッグのライブを体験したのは84年らしい。カート・コバーン『ジャーナルズ』の p.230(ラフトレード破産の走り書きと前後の文脈から93年の中頃に書かれたか)にフリップサイド、MRR、Forced Exposure なんかがリストに挙げられているけれど、若かりし頃に購読していたかどうかは不明。necros や die kreuzen は好きみたいだけど negative approach や meatmen は見当たらない。NYHC、ボストンクルーはほぼ無視。やっぱりオリンピア経由(友人やKAOS (FM) - Wikipedia なんかも)かも。クラスをスリッツ、レインコーツ、デルタ5、クリネックス等と同じ括り(ラフ・トレードのディストリビューションも怪しい cf. zounds)で捉えていた、けど自身の政治的見解と相容れないため日記への記述は控えた、とか(な訳ないとは思うけど)。Tesco Vee や Dave Simson もクラスの姿勢についてぐだぐだ書いてるし(認めてはいる)。じゃあカートの思想はというと……アナーコ・パンクの音楽的な影響も含めてとりあえず何も分からない。

 

反省1:gee vaucher john heartfield motorhate k records

*1:Fecal Matter - 05 - Class of 86' - YouTube カタカナにすれば一緒

嘘の人生 pt.Ⅱ

 親戚の集まりで久々に正座をした。読経中、何も考えないよう努めたが、どうでもいい事が次々に浮かぶ。今村夏子『星の子』の仕出し弁当のくだり、『あひる』所収の魔剣とんぺいを思い出してマスクの下が動く。

 会場は海辺の高台にあって、いや山ン中だな、来るたびに区画が拡がっている気がする。立原正秋高井有一が酒樽を担いで歩いた尾根道、永井龍男の雑談衣食住の感じ。酒が入って血縁者と猥談。血が濃いというのもなかなか厄介ではある。少し酔って遠くに海を望みながら、うとうとした。

 「着いたよ」、と起こされるまで車内に会話はなかった。兄弟ってすげーな、ひとり感心する。紙袋を渡され、なんか重いので覗いたら500mlのビール2本と食パン一斤が入っていた。駅前で週プロを買って、空きの多い座席にほっとして、お構いなしにむしゃむしゃ食った。

 以前は冠婚葬祭で帰る際は、例えば人気大学教員の道徳的な本などを前日近くに購入して、結局は大して読みもせず、それでも、いいとこ見せなきゃ、なんて気を張っていたものだが、まあ杞憂だった。大抵は大声で近況を伝え合って終わり。ただ本当に疲れた。迎える方も大変なんだよ、年寄った母親が言った。

ポスト・ハードコア ローファイ・ミュージック サンディエゴ

つづき

 帰宅後、PITCH FORK, DRIVE LIKE JEHUとTRUMANS WATER, SOUL JUNKを聴き比べた。共通する部分があるような、全然ないような気もする。どちらも共にサンディエゴ出身で活動時期もさほど変わらないと知り、両者の関係が気になった。

 地元の先輩BATTALION of SAINTSに敬意を表す元PITCH FORKの二人。曲は良いしMarc Rudeのカバーアートも最高だ!  

 It's Gonna Blow: San Diego's Music Underground

 
 TRUMANS WATER、個人的にはノイズ・前衛音楽・Lo-fi寄りの国際的知名度の高い職業的インディー・バンドの印象が強い。あるインタビュー*1では、ペイヴメントとの違いを語り、ミンガスやエリントン、ウータンやデル、サンシティガールズ等をお気に入りに挙げるのだが、同郷のバンドには言及していない。一方で動画に登場する他のバンドの多くは、主に地元のhardcore/post hardcore sceneに属していて政治的でD.I.Y.な活動を旨としているように思える。はたして同時に語られるほど近い距離にいたのか。調べるとTRUMANS WATERは93年にR.F.T.C.やFUGAZI等と共演*2している。また、サンディエゴの音楽状況を説明する際に、多少の畑違いを認めながらDRIVE LIKE JEHU, TRUMANS WATER, THREE MILE PILOT, GRAVITY RECORDSを並べて例に出すディスク・ガイド*3も存在する。

 John Reis' pre-Pitchfork hardcore band, shot somewhere around 1986. だそうです

  ジョン・レイスを媒介にして上述したバンドの枠組みを整理すると、単に「ポスト・ハードコア」の一言で終わるような気がしてきた。それぞれの位置関係を断絶として捉えるよりも、パンク・ロックの連続性の視点から検討すべきなのもしれない、と思った。何を言っているか自分でも分からない。

 

おわり

 

反省1:ドキュメンタリーを見ていない 

反省2:最終的には日本の受容状況を確認したかった? 

ディスクユニオンの商品情報では「サンディエゴの90'sハードコアシーンに焦点をあてたドキュメンタリー」と説明されていて、タイトルの由来の一つでもあるトルーマンズウォーターの(曲の歌詞)名は伏せられている 日本盤CDのライナーノーツ執筆者は、トルーマン~が佐々木敦、ドライブ~は大鷹俊一、ロケット~の1stがスナッフィースマイルの人  

反省3:SWING KIDS

*1:

*2:

*3:

 

なんだこれは

 昼、古本屋を二軒廻って四冊の安い本を買い、ふと路地に入ったところで何故だか急に悲しくなってしまった。さらにこれまた原因不明の焦燥にも苛まれた結果、仕方なく図書館に救いを求めた。

 最新の雑誌を取っ替え引っ替え、ぱらぱらと捲って満足した後は、目的もなく館内をうろつく。新鮮味のある情報に接して気持ちが昂ったのか、挑発的なタイトルの本がやたらと目に留まる。のんびりした館内放送が短時間の滞在を奨励する、何度も。西崎憲『全ロック史』(人文書院)を立ち読みした。ポスト・ハードコアとローファイの章だけ読んで、指先を念入りに除菌して帰った。

 帰り道、後頭部を紐で引っ張られるような感覚に続き、目元が震えだして意識が遠のいた。やばいやばいと大慌てしてあんまんを買い、軒先で食べようとするが客の出入りが多すぎる。歩きながら食おうにも、次々に人が現れる。ついに雑木林が見えたところで、閃いて、自販機で緑茶とお汁粉を買う。散策路の木製ベンチ(排除アート無し)に腰を下ろし、貪り食った。一息ついて見上げた空がやけに白かった。葉の落ちた木々の梢がまるで「血管のようだ」わざわざ口にしてニヤニヤ笑った。

つづく

 

Aimee Mann GangGreen 

 ギャンググリーン「another wasted night」CDにエイミーマンが写っていて、それは「P.M.R.C. SUCKS」12''EPのジャケットらしく('til tuesdayのvoices carryカバー?収録)ライナーノーツに顛末が記されていた。(エイミーマンのcease & desist letterをレコードに封入した与太話)

 スティーヴン・ブラッシュ『アメリカン・ハードコア』(メディア総合研究所)によると、D.Y.S.のDave SmallyとJon Anastasの出会った場所はNewbury Comics - Wikipediaとのこと。当時従業員だったエイミーマンもその場に居合わせて、実はボストン・ハードコア・シーンに深く関わっていたのかも、など妄想した。

 最後の質問の “hardcore punk scene” と、返答で述べられた “super arty underground punk scene”(と聞こえてしまう)とは、どの辺りを指しているのか気になった。
 'til tuesday 以前のバンドらしい。メンバー写真を見る限り、音楽性はポストパンクに近そうだ。でも、オリジナルドラマーはnegative FXに参加するみたい。

 

反省:音を確かめず、細かい時系列を無視して書いた。

雑感:年の瀬に聴いたTaang!期のLemonheadsに感動してマサチューセッツ音楽がいろいろ気になった。エイミーマンを聴くたびに湧き上がる複雑な感情というか、何か一つ申し訳したくなる原因を曖昧にしておいてよいものか、など思って。何の解決にもならなかったが。